私たちが普段使っているお金、日本円の価値はここ数十年変わっておりません。

しかし世界を見渡せば、これは極めて稀有な例だということがわかります。

例えばアルゼンチンの人々は給料をもらったその日に米ドルに換金します。

アルゼンチンペソはインフレにより1年で価値が半減するため、国民は自国の通貨が信用できず、資産を他国に預けているのです。

通貨の価値を決定づける要因は様々ありますが、一般的に国力のある国の通貨は価値が高いとされています。

一方で国力のない国の通貨は価値が低く、それらの国に投資を行うにも大きな信用リスクが伴います。

そのリスクに見合うべく調整されたのが、高く設定された政策金利であり、金利差による利益と、新興国の繁栄or没落の丁半博打を天秤に掛けるのが投資家にとっての醍醐味でもあります。

本記事では、スワップ投資を行う上で知っておきたい新興国の政策金利金利平価説について解説します。

高金利通貨が生まれる理由

政策金利とは、各国の中央銀行によって定められる銀行に預けたと時につく利子であり、一般的に好景気では高く、不景気では低く設定されます。

高く設定すれば預金者が増えるため、流通過多になった通貨を抑制することができ、低く設定すれば預金するメリットがなくなるため、流通が促進するという仕組みです。

ではトルコや南アフリカ、メキシコといった高金利通貨国は好景気なのでしょうか?

実際はその逆で、国内経済が厳しく常に政府はお金がない状態です。

国内予算だけでは経済が回らないため、如何に他国からお金を集めるか、そこで考えられたのが高金利です。

これにより、一時的に資金を集めることが可能です。

しかし高金利に設定した以上、当然出資国への支払いも多くなり、徐々に財政を圧迫し始めます。

政府にとって、最終的に国内経済が上向きにならなければ意味がなく、金利を上げて一時的に資金を集めた最中に、経済を好転させる逆転的な施策が成功しなければ、経済はさらに悪化します。

最終的には、金利をあげる→施策成功しない→金利を上げるという、まさに闇金に追われる多重債務者ばりのループに陥り、国の信頼を落とす→通貨価値が下落するというわけです。

要するに、金利を上げて借金をしている間に、何かいい手を打たなければ、さらに状況は悪化するということです。

金利平価説とは何か

高金利通貨の価値が、長期的に下落するという為替理論に『金利平価説』というものがあります。

簡単な例を挙げて説明します。

USD/JPYの為替レート:1ドル=100円、日本の金利:5年間不変でマイナス0.1%、アメリカの金利:5年間不変で2.0%と仮定すると、元々の100円と1ドルはどうなるかを考えます。

結果を述べると、5年後にはの政策金利の複利パワーで、日本:100→95円、アメリカ:1→1.1ドルになります。

そして、この5年後の95円と1.1ドルは等しいと考えるのが『金利平価説』です。

つまり金利平価説を一言で説明するなら、どの通貨であっても一定期間保有した金融価値は同じになるということです。

この説が正しいとするなら、高金利通貨であるほど円高に傾くということが推測できます。

これをトルコリラのスワップ投資に置き換えて考えてみます。

金利平価説から考えると、高金利通貨ほど円高に傾くためチャートは右肩下がりになるはずです。

トルコリラは政策金利が24%なので、100万円分保有していたとすると一年後には124万円になっているはずです。

また実際にトルコリラ円のチャートに注目すると、長期的に右肩下がりになっており、特に2018年から2019年にかけて、トルコリラ円は30円→20円に下落しています。

これらを踏まえると1年間で金融価値が66%になったということであり、100万円分トルコリラを保有していたら、日本円換算で66万円になったということです。

近年のトルコリラ円は下落が激しく、政策金利が24%と高く設定しているにも関わらず、為替損益では実質マイナスになっています。

スワップ投資は成立しないのか?

金利平価説が成立するなら、スワップ投資による利益と為替損益は相殺されるはずなので、スワップ投資は利益が見込めないということになります。

しかし結論から申し上げると、近年の結果から金利平価説が必ずしも成立しないということが明らかになっています。

少し前に遡り、1970年代までは確かに高金利通貨は為替レートが下落していました。

一方1980年代からは、高金利通貨も為替レートは一方向な下落ではなく、むしろ上昇トレンドを見ることができます。

投資書籍『通貨投資戦略』によると2007年以降、リーマンショックがもたらす超円高による為替損益を考慮しても、スワップ投資はトータルで利益を出していると記載があります。

というのも金利平価説は、2国間の金利差だけに注目しており、両国間の経済成長率や貿易収支の差は全く考慮していません。

実際には新興国など経済成長率の高い国は、貿易黒字や海外からの投資マネー流入により、長期的には通貨高になるケースが多いのです。

新興国は概して高インフレですが、経済成長による通貨上昇はそれをはるかに上回ることが多いのです。

私の実践しているスワップ投資のメキシコも、今後10年間で世界7位の経済大国に成長することが見込まれています。

国力が増せば、当然通貨の価値も上がるので、新興国通貨に見られる一方的な下落もいつかは転換すると信じております。

さて金利平価説が成立しない、だからと言って無視することもできません。

高金利通貨が長期的に下落しやすいこともまた事実です。

しかし、この為替決定理論である金利平価説を踏まえてもなお言えるのことは、右肩下がりのチャートを見て、スワップ投資は危険、利益にならないと判断するのは些か早計だということです。

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